怪談・ソロキャンしたときの話
私は特に「霊感がある!」とか「心霊はいるんだ!」とかでは全然ないのですが、怖い話は結構好きで、信じてないけどおもしろいなぁって怖い話を聞いたり、ホラー映画を見たりっていう感じなのですが、なんでか昔っからたまに「ん?なんだったんだ?」って体験とか、怖い話が大っ嫌いなはずの友人からいきなり心霊的な体験を聞いたりとかがあって。
そんな話を怪談好きの嫁に話したら、結構面白がって聞いてくれたので、よし!ブログでもしたためてみよう!と書いてみることにしました。
正直文章を書くのも手慣れているわけではないので、諸々細かいところはご容赦いただき、楽しんでいただければ幸いです。
最初の話は、自分で体験したある不思議な話です。
冬の休日のときのことなのですが、私は趣味のソロキャンプをするためにとあるキャンプ場にバイクで向かっていました。晴れた日で、朝から気持ち良い風が吹いていたのを覚えています。
いつもキャンプ場までのルートは特に決めていなくって、その日は海沿いを走りながら、たまたま見かけた定食屋で海鮮丼を楽しんだり、目についた神社でお守りを買ったりとだらだらと時間を忘れてツーリングを満喫していました。
それで、なんだかんだと色んな所に寄っているうちに時間が過ぎ、気が付けばあたりが暗くなり始めていたんです。
真っ暗になったら設営が大変だなぁ、と慌てて目的のキャンプ場に向かいましたが、残念ながら着く前に辺りがすっかり暗くなってしまいました。
まぁよくあることではあるので、日のある内の気楽な設営は諦めながら、なるべく早く着きなぁと少し急いで車通りの少ない山道を走っていったんです。
しばらく走っていると、あるトンネルに差しかかったんですが、そこでふと少し不思議なことに気がついたんです。
もう辺りは暗いのに、トンネル内の照明灯が点いていない。真っ暗。
バイクのライトだけがトンネルの中を照らしていました。道の脇には狭いけれど歩道もあって、歩行者も行き交うのであろうと思われました。なのにトンネル内は照明灯が点いてない。。。
山道っていってもそんなに山奥ってほどでもないし、こんなことってある?もしかして旧道か何か、使われていない道に間違えて入ってしまったかなぁ、などと思って、付近にバイクを止めてトンネル名を確認しようと入口に近づくと脇に置いてあった看板に気がつきました。
「歩行者はボタンを押してください。」

って書いてあったんです。それを見て、ああ、なるほどって納得がいきました。
おそらく、このトンネルは押しボタン式で車やバイクなんかの場合にはつかないのだろう。省エネか。そう考えた私は試しに押してみました。
すると、パッと照明灯がつき、トンネル内が明るくなりました。
正直怖いんでつけっぱなしにしてくれないかなぁとも思いつつ納得はいったので、バイクに戻り、時間もないことだし急いで先に進むことにしました。
ちょうどトンネルを抜け切る頃に照明が消え、サイドミラーで後ろを見ると、また暗いトンネルに戻っていました。
そこからしばらく進むと、また同んなじような暗いトンネルがあって、入り口には先ほどと同じボタンが付いていました。ほんとに押さなきゃつかないのかなぁと、今度は押さずに進んでみました。感応式の可能性もありましたし。
でもトンネル内に進んでみると、思った通り照明は点かず、暗いトンネルをバイクのライトだけで照らしながら進むことになりました。
その後もいくつか暗いトンネルを通りましたが、どれもボタンを押さなければ照明は点かないようでした。
それから小一時間くらいして、無事キャンプ場に着き、さっさと受付を済ませて設営ポイントを探しはじめました。
例年だったら冬の間は他のキャンパーも少ないので、割とどんなキャンプ場でも好きな場所にテントを張れるのですが、この時はキャンプ人気でどこも人が多く、炊事場の近くや景色の良い場所など人気のポイントにはすでに人がいっぱいの状態でした。
私はできるだけ一人で過ごしたい派なので、人の少ないポイントを探して歩いていると、大きな木に行き当たりました。
幹の太い立派な木だったんですが、その大きさのせいで月の光が遮られているせいか、辺りがなんだか薄暗かったんです。
そのせいだと思うのですが、辺りに人は少ない良い場所だったので、ここにしようと決め、ささっとテントを設営しました。
焚き火台で火を起こし、缶ビールで一人乾杯。出発前に仕込んできた串焼きを焼き始めます。 ちびちび酒を飲みながら、くるくると網の上の串焼きをひっくり返す。多少意味もなく。。。回すのが楽しいので(笑)
油が落ちて、ジューっと音を立てる。この感じがたまらなく好きなのです。
ただ、これ皆さんソロキャンする人は多少あると思うのですが、1人になりたくてソロキャンにきてるくせ、暗い森の中、完全に1人だと寂しい、そして怖い。。。決して近くないくらいのところに人はいてほしい。。。怖いので。
なので私はいつも周りの迷惑にならないよう気をつけながら、うっすらラジオを流しています。 するといつもは何もないのですが、この時だけ。
「・・・ぅぜぇ」
って突然、頭の後ろの方からなにかに囁かれた気がしたんです! それでその時は、しまった!誰か近くにいたのかな?!っと思って
「すいません!」
って咄嗟に言ったんですけど、振り返っても誰もいない。
怖っっと思って、あたりをキョロキョロと見渡してみましたが、やっぱり誰もいない。 しいて言うなら遠くの方にうっすら他のキャンパーがグループで楽しそうに談笑しているのが見えるので、もしかしたら風でたまたま声が流れて来たのかなと、試しにラジオを止めて耳を澄ましたんですが、やっぱりなんの気配もないし、なんの音も聞こえてこない。
まぁ木の擦れる音とか、風の音とか、怖くって何かを聞き違えたのかな、と気を取り直してラジオをかけ直し、串焼きを楽しむことにしました。結局それ以降はラジオの音以外、特に変な音はなにも聞こえてきませんでした。
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翌日、目が覚めて辺りを見回すと、昨夜は暗くって気づかなかったのですが、木の反対側に小さな祠がありました。見た目は特になにが祀ってあるわけでもなさそうな祠なんですが。。。 昨日はこれに怒られたかなぁ、なんてたいして信心深くもないですが思ったりして、なんだか申し訳なさにかられたので近くにあった花を摘んできてお供えして、一応手を合わせておきました。なんか怖いので。
そんな感じで勝手にスッキリとし、朝もはよからのんびり焚火をしてコーヒーなんかを飲んでいると、またなんか昨日の声みたいのがうっすら聞こえてくる気がしたんです。なんかこう聞こえてはいないんだけど、聞こえる?的な。まぁ気のせいって言われれば気のせいなんですけど。
結局、ちょっと薄気味悪いのもあったので、さっさと撤収して近くの温泉に行くことにしました。 バイクをちょっと走らせて、人の多いところまで来てしまえばこっちのもの。ゆっくり温泉につかって、そのままその施設で昼ごはんを食べました。
田舎のこういうところって結構量が多いところが多いですよね。ここの温泉施設も普通の定食が山盛りでした。美味しかったです。
ただ、ご飯食べた後、食事する場所がこう、大広間になっていて自由に休めるんですが、キャンプで多少疲れてたのもあってか、そのまま爆睡しちゃったんです。
明るいうちに帰るはずだったのですが。。。起きた時にはもうすっかり夜。。。暗い。。。
やってしまったものは仕方ないのであきらめて寒空の下バイクで帰ることにしました。
で、その帰り道。
また、行きにも通った例のトンネルあたりに差し掛かったのですが、その時、遠くの方からまたなにか声のようなものが聞こえてきたんです。結構距離がありそうな感じで。
「・・・ぜぇ」 って
昨日の声に似てないか?ってゾッとしました。っていうかおかしいんですよ。バイクなんです。それなりに速度がでてたんです。外の音なんてほぼ聞こえないんですよ。普通。
なのに、朝のとは違って聞こえるんです。遠くの方から流れて聞こえてくる感じで。
怖って思いながら辺りを見まわしたり、サイドミラーで後ろみたりしたんですけど誰もいないんです。暗くって遠くまでは見えないといえば見えないんですが。。。
とにかく早く帰ろうと、どんどんトンネルの中を進んでいったんです。それで、トンネルの出口くらいに差し掛かった時に、パッって、、、中の照明が点いたんです。
来るときに確認したんですが、このトンネル、入り口でボタンを押さないとつかないんですよ。自動点灯はしないはずなんです。この時点で多少パニックですよ。ゾッとしました。
でも、どうすることも出来ないし、たまたま山菜とりの人が通りかかったのかもしれないし。。。止まるのは怖いし、戻るわけにはいかないし。ドキドキしながら走り続けました。
前からいきなり飛び出てきたらどうしようとか考えながら。
そんなこと考えながら走っていくと、また次のトンネルに入ったんです。
そしたら今度はトンネルの真ん中あたりに差し掛かった時に、パッて、中の照明がまた点いたんです。
これはヤバい!と思ってトンネルを抜けて、少し進んだところでバイクを止め、何が来るのか見届けてやろうとまたがってエンジンをかけたまま、しばらく入り口を眺めてたんです。
でも、いっくら時間がたっても何も出てこない。そのうちトンネルの照明が消えて、また真っ暗。
曲がりくねったトンネルでもないので、徒歩の人なら懐中電灯くらい持ってるだろうと、その明かりくらい見えるだろうと思って、目を凝らしてみても、何も見えてこない。
待っても何にも起きなかったので、「よし。気のせいだ。」 って思って前を見て発進しようとしたその時、
ドンッ
って、タンデムシートの上にだれか乗ったんです。で肩の上に手が乗ってきたんです。ちょうどタンデムする感じで片手だけ。
それでもう完全に怖くなってしまって、わき目もふらずに走ろう!って。駆け出しました。
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しばらく走って、気づいたときにはいくつもあったトンネルを抜け、帰りの高速道路に乗っていました。
なぜか終わった~っていう感じがすごいして、しばらくボーっと走って。サービスエリアで休憩しながら、友達に電話したのを覚えてます。そのあとは、何事もなく。普通に帰ってご飯食べて寝ました。。。あれはほんとに何だったんだろう。サル?かもしれません。